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副業やひとり起業で個人事業主になるとき、最初にやるのが税務署への書類の提出です。ところが調べてみると、開業届、青色申告承認申請書、事業開始等申告書……と書類がいくつも出てきて、どれをいつまでに出せばいいのか迷ってしまいます。
しかも2026年からは、開業届の提出期限が変わりました。古い情報のまま動くと、いちばん大事な青色申告の申請を出し遅れるおそれがあります。
この記事では、経理17年で2025年11月に開業した私が、開業時に出す書類と期限、そして最低限そろえる帳簿を整理します。

書類は多く見えますが、ひとりで副業を始める人が必ず出すのは実質2枚です。まずはそこだけ押さえましょう。
結論:開業届と青色申告承認申請書は「同時に」出す
📝 この記事のポイント
- 2026年1月以降に開業した人は、開業届の期限が開業した年の確定申告期限までに延びた
- 一方、青色申告承認申請書は今も開業から2か月以内(1月15日までに開業した場合はその年の3月15日まで)
- だから2枚は同時に出すのがいちばん安全
- 65万円控除を狙うなら、帳簿は「仕訳帳」と「総勘定元帳」が最低ライン
開業時に出す書類の一覧
| 書類 | 提出先 | 期限 | 出す人 |
|---|---|---|---|
| 個人事業の開業・廃業等届出書(開業届) | 税務署 | 開業した年の確定申告期限まで(2026年1月以降の開業) | 全員 |
| 所得税の青色申告承認申請書 | 税務署 | 開業から2か月以内(1月15日までの開業はその年の3月15日まで) | 青色申告をしたい人 |
| 事業開始等申告書(個人事業税) | 都道府県税事務所 | 自治体ごとに決まっている | 個人事業税の対象になる業種の人(ブログ・アフィリエイトが対象かも含め、都道府県で確認) |
| 青色事業専従者給与に関する届出書 | 税務署 | 開業から2か月以内(原則はその年の3月15日まで) | 家族に給与を払う人 |
| 給与支払事務所等の開設届出書 | 税務署 | 開設から1か月以内 | 人を雇う人 |
| 適格請求書発行事業者の登録申請書(インボイス) | 税務署 | 登録を受けたい日に合わせて提出 | 取引先からインボイスを求められる人 |
家族を雇わず、ひとりでブログやネットの副業をする場合は、開業届・青色申告承認申請書・事業開始等申告書の3つが対象です。事業開始等申告書は都道府県ごとに様式と期限が違うので、お住まいの都道府県税事務所のホームページで確認してください。
2026年から開業届の期限が変わった
国税庁の案内では、開業届の提出期限は「事業を開始した年分の確定申告期限まで」となっています。以前は「開業から1か月以内」とされていたので、今は余裕ができた形です。
たとえば2026年6月に開業した場合、開業届は2027年3月15日までに出せば間に合います。
⚠️ ただし青色申告承認申請書は2か月のまま
青色申告承認申請書の期限は変わっていません。開業届の期限が延びたからといって一緒に後回しにすると、青色申告の申請が間に合わず、その年は白色申告になってしまいます。白色申告では65万円控除も赤字の繰り越しも使えません。

開業届は後から出しても罰則はありません。でも青色申告の申請だけは遅れると取り返せません。だから「開業届を出すときに青色も一緒に」が鉄則です。
開業届の書き方で迷うところ
開業届の用紙は国税庁のホームページからダウンロードできます。e-Tax、郵送、税務署の窓口のどれでも提出できます。迷いやすい欄だけまとめます。
| 欄 | 書き方のポイント |
|---|---|
| 届出の区分 | 「開業」に丸をつける |
| 所得の種類 | 「事業(農業)所得」に丸をつける |
| 開業・廃業等日 | 実際に事業を始めた日。ブログなら、収益化の目的で運営を始めた日など、説明できる日にする |
| 職業 | 「ウェブライター」「ブロガー」など、内容がわかる言葉で |
| 事業の概要 | 「ブログ運営による広告収入」など、何で収入を得るのかを具体的に |
| 屋号 | 任意。なくても出せる |
| 開業に伴う届出書の提出の有無 | 青色申告承認申請書を同時に出すなら「有」 |
提出したら、控え(写し)を必ず手元に残してください。e-Taxなら送信した内容と受信通知を保存しておきます。屋号の付いた銀行口座を作るときなどに、開業の証明として控えを求められることがあります。
青色申告承認申請書の書き方で迷うところ
青色申告承認申請書で大事なのは、簿記の方式の欄です。
- 「複式簿記」にチェック:65万円(または55万円)控除を受けたい人
- 「簡易簿記」にチェック:10万円控除でよい人
もう1つの「備付帳簿名」の欄は、実際につける予定の帳簿にチェックを入れます。次の章の「最小構成」を参考にしてください。
申請を出したあと、税務署から却下の連絡が来なければ、原則としてその年の12月31日(11月以降に開業した人は翌年2月15日)までに承認されたものとみなされます。
📌 2027年分から青色申告の控除が変わります
令和8年度税制改正で、2027年分(2028年に申告する分)から、青色申告特別控除は75万円・65万円・10万円の3段階になります。e-Taxで申告すれば65万円、さらに「優良な電子帳簿」か「請求書等のデータの自動連携」があれば75万円。紙で提出すると10万円になり、今の55万円の区分はなくなります。2026年分(2027年3月に申告する分)までは今のルールのままです。これから開業する人は、e-Taxで申告する前提で準備しておくのが安全です。
帳簿の最小構成
「帳簿をつけてください」と言われても、何冊必要なのかわかりにくいですよね。受けたい控除によって必要な帳簿が変わります。
| 受けたい控除 | 記帳の方式 | 最低限そろえる帳簿 |
|---|---|---|
| 65万円・55万円 | 複式簿記 | 仕訳帳+総勘定元帳(主要簿)。あわせて貸借対照表と損益計算書を作る |
| 10万円 | 簡易簿記 | 現金出納帳・経費帳など、取引に合わせた簡易な帳簿 |
65万円控除を狙う場合、ひとりでブログ副業をする人の現実的な最小構成は次の通りです。
| 帳簿 | 役割 | 必要なとき |
|---|---|---|
| 仕訳帳 | すべての取引を日付順に1行ずつ記録する | 必須 |
| 総勘定元帳 | 仕訳を勘定科目ごとに集めたもの | 必須 |
| 預金出納帳 | 事業用口座の入出金と残高を記録 | 事業用口座を使うとき(ほぼ全員) |
| 固定資産台帳 | パソコンなど長く使う高額な資産と減価償却を管理 | 10万円以上の資産を買ったとき |
会計ソフトを使うと、仕訳を入力するだけで総勘定元帳や決算書が自動で作られます。Excelで自作する場合は、仕訳帳から他の表へ数字が自動でつながるように作るのがコツです。私が実際に作ったExcel帳簿のシート構成と仕訳例は、こちらの記事で紹介しています。
帳簿と決算書類は、原則として7年間保存します。領収書や請求書などの書類は、種類によって5年または7年です。

最初から完璧な帳簿を目指さなくて大丈夫です。仕訳帳を毎月つけていれば、あとの帳簿はそこから作れます。
私の場合:開業届と青色申告をセットで出した
私は2025年11月に開業し、開業届と青色申告承認申請書の両方をe-Taxで提出しました。税務署に行かずに自宅から出せて、送信した内容と受付の記録もそのまま手元に残せます。そのおかげで、開業1年目の2025年分から青色申告で確定申告ができ、65万円控除の形で申告を済ませています。
経理の仕事で17年、会社の帳簿や決算は見てきましたが、それでも「自分が個人事業主として何を出すのか」は一から調べました。会社の経理と個人の確定申告は、同じ簿記でも手続きがかなり違います。
書類づくりが不安なら、無料のツールや税理士を頼る
開業届と青色申告承認申請書は、国税庁の用紙に手で書いても作れます。ただ、どの欄に何を書くかで迷う人は、質問に答えるだけで書類ができる無料のツールを使うと早く終わります。
また、次のような人は、最初だけでも税理士に相談しておくと安心です。
- 簿記の知識がなく、帳簿づけに自信がない
- 副業の売上がある程度大きくなりそう
- 家族を雇う、人を雇う予定がある
- インボイス登録をするべきか判断がつかない
🧾 開業届と青色申告の申請書をまとめて作るなら
会計ソフトの弥生が提供する「弥生のかんたん開業届」は、画面の案内に沿って入力するだけで、開業届と青色申告承認申請書を無料で作成できるサービスです(利用には無料の弥生IDの登録が必要)。同じ「起業・開業ナビ」から、税理士・会計事務所の無料紹介も利用できます(税理士と契約する場合は別途費用がかかります)。
よくある質問
Q:会社員のまま開業届を出してもいいですか?
A:出せます。会社員でも、副業を事業として始めるなら開業届を出せます。ただし副業ができるかどうかは、先に会社の就業規則を確認してください。
Q:開業届を出さないと罰則はありますか?
A:開業届の提出が遅れても罰則はありません。ただし青色申告承認申請書には期限があり、遅れるとその年は青色申告ができません。
Q:青色申告承認申請書の期限を過ぎてしまったら?
A:その年は白色申告になります。申請書自体は出せるので、翌年分から青色申告ができるように、翌年3月15日までに提出しておきましょう。
Q:帳簿はExcelでもいいですか?
A:複式簿記で記帳し、貸借対照表と損益計算書まで作れればExcelでも問題ありません。65万円控除を受けるには、あわせてe-Taxでの申告(または電子帳簿保存)が必要です。
Q:開業日はいつにすればいいですか?
A:実際に事業を始めた日です。あとから説明できるように、その日に何を始めたのか(サイトの開設、最初の仕事の受注など)をメモしておくと安心です。
まとめ
- 2026年1月以降に開業した人は、開業届の期限が「開業した年の確定申告期限まで」に延びた
- 青色申告承認申請書は今も「開業から2か月以内」。だから開業届と同時に出す
- 65万円控除を狙うなら、仕訳帳と総勘定元帳が最低ライン。事業用口座と固定資産があれば台帳も
- 帳簿と書類は原則7年間保存する
書類そのものは数枚ですが、「青色申告の期限だけは待ってくれない」という点だけは覚えておいてください。
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※制度は2026年9月時点の国税庁の情報をもとにしています。個別の判断は税務署や税理士にご確認ください。



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