「経理の仕事は嫌いじゃない。でも、この会社にこのままいていいのかな」
「転職したい気持ちはあるけれど、40代からでは遅いのでは」
40代の経理担当者から、いちばんよく聞くのがこの迷いです。私も同じでした。
私は経理の仕事を17年続けてきましたが、その途中、42歳のときに経理として転職しています。動く前は「この年齢では相手にされないかもしれない」と本気で思っていました。ところが実際には、経理の経験を評価してもらえて、思っていたよりずっとすんなり決まりました。
結論から言うと、経理経験がある40代の転職は、遅くありません。ただし、20代の転職とは進め方が違います。この記事では、40代の経理転職の実情と、動き出す前に知っておきたいことをまとめます。

経理は、年齢を重ねるほど不利になる仕事ではありません。むしろ「一人で回せる人」を探している会社はたくさんあります。
なぜ「40代の経理は遅くない」と言えるのか
①経理は経験がそのまま実力になる仕事だから
経理の仕事は、毎月・毎年の同じサイクルを繰り返します。月次を締め、年次で決算をまとめ、税務の対応をする。このサイクルを何周したかが、そのまま実力になるのが経理です。
営業のように成績で比べられる仕事や、流行の変化が速い仕事とは違い、20年前に覚えた仕訳のルールは今も使えます。積み上げが消えないので、40代の経験は評価の対象になります。
②中小企業は「一人で回せる人」を探しているから
中小企業の経理は、人数が少ないぶん、一人が担当する範囲が広くなります。仕訳から月次、年次、給与計算、社会保険まで見ている人も珍しくありません。
こうした会社が採用したいのは、教えなくても回せる人です。20代を採用して育てる余裕がない会社ほど、40代の経験者はありがたい存在になります。
③経理・管理部門に絞った求人が実際にある
経理や管理部門に特化した転職サービスがあり、求人も公開されています。たとえばMS-Japanは公式サイトで求人10,000件以上と案内しており、ヒュープロは全国47都道府県に対応しています(いずれも2026年9月時点・各社公式サイトより)。
「40代の求人なんてないのでは」と想像で止まってしまう前に、実際にどんな求人があるのかを見てみるだけでも、判断材料はかなり増えます。
それでも不安になる3つのことと、実際のところ
不安①:年齢で落とされるのでは
正直に言えば、年齢を条件にしている求人はあります。ただし、落とされる理由が「年齢」だけということはあまりありません。多くは「求めている経験と合わなかった」ケースです。
たとえば決算をまとめられる人を探している会社に、入力中心の経験で応募すれば、年齢に関係なく合いません。逆に、決算まで任せられる人を探している会社にとって、40代の経験者はぴったりの相手です。
不安②:今さら新しい環境でやっていけるのか
これは多くの人が心配する点ですが、経理の仕事の中身は会社が変わっても大きくは変わりません。勘定科目の考え方も、決算の流れも共通です。
変わるのは、会計ソフトの種類、承認のルール、締めのスケジュールといった「その会社のやり方」の部分です。ここは最初の数か月で慣れる部分なので、身構えすぎなくて大丈夫です。むしろ「前の会社ではこうでした」と押し通さない姿勢のほうが大事になります。
不安③:年収が下がるのでは
これは会社によります。上がる人もいれば、下がる人もいます。判断のポイントは、年収だけを単体で見ないことです。
残業時間、通勤時間、任される範囲、将来の伸びしろまで含めて比べると、「年収は少し下がるけれど、残業がなくなって手取りの時間単価は上がる」という選び方もあります。今の職場に不満があって動くなら、何を優先するのかを先に決めておくと迷いません。

「年収が下がるかどうか」より、「何を優先したいか」を先に決めておくと、求人を見たときに迷いません。
私が42歳で転職したときのこと
私が転職したのは42歳のときでした。動く前は「若い人と比べられたら勝てないだろう」と覚悟していました。
ところが実際に話をしてみると、聞かれたのは年齢のことではなく、「どこまで自分で担当していたか」でした。月次決算を5営業日で締めていたこと、決算や給与計算まで見ていたこと。そうした具体的な話をすると、相手の反応が明らかに変わりました。
結果として、覚悟していたよりずっとすんなり決まりました。あのとき実感したのは、年齢を気にしていたのは自分だけだったということです。会社が見ていたのは「入ってすぐ何を任せられるか」でした。
40代で転職しやすい人・苦戦しやすい人
| 転職しやすい人 | 苦戦しやすい人 |
|---|---|
| 月次・年次を自分で回せる | 担当が入力作業に限られている |
| 給与・社会保険など守備範囲が広い | 一部の工程しか経験がない |
| 新しい会計ソフトにも抵抗がない | 前の会社のやり方にこだわりが強い |
| 希望条件に優先順位がついている | 年収も休みも通勤もすべて譲れない |
| 在職中に動き始めている | 辞めてから探し始めて焦っている |
右側に当てはまる項目があっても、伝え方を変えるだけで印象が変わることもあります。「入力中心だった」と思っていても、その入力の前後で何を判断していたかを言葉にできれば、評価は変わります。
いつ動き出すのがいいか
経理の繁忙期は外す
経理には決算期という繁忙期があります。面接の日程調整も、引き継ぎの相談も、この時期は難しくなります。動き出すなら、決算が落ち着いたタイミングを選ぶと無理がありません。
ただし「情報集め」は今すぐでいい
実際に応募するかどうかは別として、求人を見たり相談したりするのは、繁忙期かどうかに関係なくできます。むしろ、今すぐ転職する気がない時期のほうが、落ち着いて比べられます。
辞めてから探さない
40代の転職は、決まるまでに数か月かかることも珍しくありません。辞めてから探すと、収入が止まった焦りから条件を妥協しがちです。在職中に動き始めるのが鉄則です。
まず何から始めるか
やることは2つだけです。
①自分の経理経験を書き出す
月次を何営業日で締めていたか、決算のどこまでを担当したか、給与や社会保険はどうか。数字と範囲を入れて書き出します。書き方のコツは、こちらの記事にまとめました。
②経理に強いエージェントに、今の市場価値を聞いてみる
書き出した内容を持って、経理・管理部門に特化したエージェントの無料相談で話を聞きます。今すぐ転職しなくても、「自分の経験ならどんな求人に届くのか」がわかるだけで、迷いはかなり減ります。
よくある質問
Q:45歳を過ぎても大丈夫ですか?
A:経理の経験があるなら、45歳以上の求人もあります。ただし年齢が上がるほど求人は絞られるので、1社だけでなく複数のエージェントに登録して、選択肢を広げるほうが確実です。
Q:転職回数が多いと不利ですか?
A:回数そのものより、それぞれの会社で何を担当したかが見られます。経理としての経験が積み上がっていれば、説明できる形に整理しておけば問題ありません。
Q:資格がなくても大丈夫ですか?
A:経験者であれば、資格より実務の中身が重視されます。簿記の資格はあればプラスですが、ないことを理由に諦める必要はありません。
Q:今の会社に知られずに動けますか?
A:エージェント経由なら、在職中であることを伝えておけば配慮してもらえます。面談も電話やオンラインで対応しているところが多いので、在職中でも進められます。
まとめ
- 経理は積み上げが消えない仕事。40代の経験は評価の対象になる
- 落とされる理由は年齢そのものより「求める経験と合わないこと」
- 迷ったら、経験の書き出し → 無料相談で市場価値を聞くの順で
- 動くのは決算の繁忙期を外して。ただし情報集めは今すぐでいい
- 辞めてから探さない。在職中に始める
42歳で動いてみて分かったのは、「もう遅い」と決めていたのは自分自身だったということです。長く経理を続けてきた経験は、それを必要としている会社にとっては十分な価値があります。まずは自分の経験を書き出すところから始めてみてください。

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