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会社員として働きながら、副業で開業届を出して個人事業主になった。そんな人が最初の確定申告で迷うのは、だいたい次の3つです。
- 会社で年末調整をしてもらったのに、自分でも確定申告が必要なの?
- 副業の分の住民税は、どうやって払うことになるの?
- 副業が赤字だったら、申告しなくていいの?
私は経理の仕事を17年続けていて、2025年11月に個人事業主として開業しました。本業の給与をもらいながら、副業の確定申告を1回経験しています。この記事では、「給与」と「副業の事業」の両方がある人にしぼって、確定申告の考え方を整理します。

会社の年末調整は「会社の給与」の分だけです。副業の分は、自分で申告しないと誰も計算してくれません。
結論:給与と副業は「確定申告で1つにまとめる」
📝 この記事のポイント
- 年末調整は会社の給与だけ。副業の分は確定申告で給与と合算して計算し直す
- 副業の所得(売上−経費)が20万円を超えたら確定申告が必要。20万円以下でも住民税の申告は別に必要
- 確定申告をすれば、住民税の情報は市区町村へ自動で送られる
- 副業が事業所得で赤字なら給与と差し引きでき、会社で引かれた所得税が戻ることがある。雑所得だと差し引きできない
年末調整と確定申告の関係
年末調整は、会社が「その会社で払った給与」について1年分の所得税を計算し直す手続きです。会社は社員の副業の売上や経費を知らないので、副業の分は年末調整に入りません。
そこで確定申告では、会社からもらう源泉徴収票の数字と、副業の決算の数字を1枚の申告書にまとめて、1年分の税金を計算し直します。
| 会社がやること | 自分がやること | |
|---|---|---|
| 対象 | 会社の給与だけ | 給与+副業の事業 |
| 手続き | 年末調整(12月ごろ) | 確定申告(翌年2月16日〜3月15日) |
| 使う書類 | 扶養控除申告書・保険料控除申告書など | 源泉徴収票・副業の帳簿と決算書 |
| 結果 | 給与分の所得税が確定 | 給与と副業を合わせた所得税が確定 |
2026年分の確定申告の期間は、2027年2月16日(火)から3月15日(月)までです。

源泉徴収票は確定申告で必ず使います。1月ごろに会社から受け取ったら、なくさないように保管しておいてください。
確定申告が必要になるライン(20万円ルール)
国税庁の案内では、給与を1か所からもらっている会社員の場合、給与以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要です。
注意したいのは、20万円が「売上」ではなく「所得」だという点です。所得は「売上−経費」で計算します。
| 例 | 売上 | 経費 | 所得 | 確定申告 |
|---|---|---|---|---|
| A | 30万円 | 15万円 | 15万円 | 不要(ただし住民税の申告は必要) |
| B | 50万円 | 20万円 | 30万円 | 必要 |
| C | 0円 | 30万円 | −30万円(赤字) | 義務はないが、事業所得なら申告すると得になることがある |
ただし、次のような場合は「20万円以下だから申告しなくていい」とはなりません。
- 医療費控除や住宅ローン控除(1年目)などで確定申告をする場合:20万円以下の副業所得も含めて申告します
- ふるさと納税のワンストップ特例を申請していた場合:確定申告をするとワンストップ特例は使えなくなるので、寄附金控除も申告書に書きます
- 青色申告の65万円・55万円控除を受けたい場合:期限内の確定申告が条件です
私も確定申告では、ふるさと納税の寄附金控除を申告書に書き入れました。副業の申告をするときは、年末調整で出していない控除がないかも一緒に確認しておくと安心です。
住民税はどうなる?
住民税は、所得税とは仕組みが少し違います。
確定申告をすれば、住民税の申告は不要
確定申告の内容は、税務署からお住まいの市区町村へ送られます。そのため、確定申告をした人は、別に住民税の申告をする必要はありません。翌年6月ごろから、給与と副業を合わせた住民税が決まります。
20万円以下で確定申告をしない人は、住民税の申告が必要
「20万円以下なら申告不要」は所得税だけのルールです。住民税にはこのルールがないため、確定申告をしない場合は、市区町村へ住民税の申告をします。やり方は自治体ごとに違うので、お住まいの市区町村のホームページで確認してください。
副業分の住民税の払い方を選べる
会社員の住民税は、ふだん給与から天引き(特別徴収)されています。確定申告書の第二表には、給与・公的年金以外の所得にかかる住民税を「自分で納付」にするか選ぶ欄があります。「自分で納付(普通徴収)」を選ぶと、副業の分だけ納付書が自宅に届く形になります。
ただし、実際の扱いは市区町村によって違うことがあります。また、副業が赤字の年は、給与と差し引きした結果、給与分の住民税そのものが下がります。その金額は会社に届く住民税の通知にも反映されます。

副業については、まず会社の就業規則を確認するのが先です。税金の手続きで会社の規則をすり抜けようとするのはおすすめしません。
副業が赤字のときの扱い
開業したばかりの年は、パソコンなどの準備にお金がかかる一方で、売上はほとんど立たないことがよくあります。このとき大事なのが、副業の所得が「事業所得」か「雑所得」かです。
| 事業所得 | 雑所得(業務に係る雑所得) | |
|---|---|---|
| 赤字を給与と差し引き(損益通算) | できる | できない |
| 青色申告 | できる | できない |
| 赤字の繰り越し | 青色申告なら3年間 | できない |
事業所得なら、赤字を給与と差し引きできる
事業所得の赤字は、給与所得と差し引きできます(損益通算)。給与からはすでに所得税が天引きされているので、差し引いた結果、払いすぎた所得税が戻ってくる(還付)ことがあります。
さらに青色申告をしていれば、差し引いてもまだ残った赤字を翌年以降3年間繰り越せます。
帳簿をつけていないと「雑所得」扱いになりやすい
国税庁は、事業所得か雑所得かは社会通念で判定するとしたうえで、取引を記録した帳簿書類を保存していない場合は、原則として業務に係る雑所得になると示しています(収入が300万円を超え、事業所得と認められる事実がある場合を除く)。
つまり、「開業届を出したから事業所得」ではありません。日々の取引を帳簿につけて保存していることが、赤字を給与と差し引くための前提になります。
⚠️ 税金を戻すために赤字を作るのは本末転倒
赤字を給与と差し引けるのは、利益を出そうとして事業を続けた結果、赤字になった場合の話です。税金を戻す目的で経費を増やしたり、実態のない副業で赤字を作ったりすると、事業所得と認められず、あとで修正を求められることがあります。そもそも、赤字で戻る税金は使ったお金より少ないので、赤字を作っても得にはなりません。迷う場合は税務署や税理士に確認してください。
私の1年目:開業した年は売上がなく赤字だった
私は2025年11月に開業し、開業届と青色申告承認申請書をどちらも提出しました。開業した年はまだ売上がなく、準備にかかった経費だけが出たため、事業は赤字でした。
2026年3月の確定申告では、会計ソフトの無料版で帳簿と青色申告決算書を作り、e-Taxで申告しました。売上がない年でも、経費の領収書を集めて毎月帳簿をつけ、給与の源泉徴収票と合わせて申告しました。赤字の年に帳簿をつけておくことは、「この副業は事業として続けている」という記録にもなります。
経理の仕事では会社の決算を毎月見ていますが、自分の申告となると「給与と事業を1枚にまとめる」感覚は、やってみて初めてはっきりわかりました。

赤字の年ほど、帳簿をきちんとつけておく意味があります。「売上がないから記帳しなくていい」は逆なんです。
確定申告までの流れ
| 時期 | やること |
|---|---|
| 1月〜12月 | 副業の取引を帳簿につける(月1回まとめてでもOK)。領収書・請求書を保存 |
| 1月ごろ | 会社から源泉徴収票を受け取る |
| 1月〜2月 | 副業の決算(青色申告決算書)を作る |
| 2月16日〜3月15日 | 給与と副業を合わせて確定申告。e-Taxなら自宅から提出できる |
| 申告後 | 還付がある場合は指定口座に振り込まれる(国税庁の目安ではe-Taxは3週間程度) |
| 6月ごろ〜 | 給与と副業を合わせた住民税が始まる |
帳簿を年末にまとめてつけようとすると、1月〜2月がとても苦しくなります。記帳のやり方は、Excelで帳簿を作った体験をこちらの記事にまとめています。
よくある質問
Q:会社の年末調整で、副業の分もまとめて計算してもらえますか?
A:できません。年末調整はその会社が払った給与だけが対象です。副業の分は自分で確定申告をします。
Q:副業の所得が20万円以下なら、何もしなくていいですか?
A:所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告は必要です。また、医療費控除などで確定申告をする場合は、20万円以下の副業所得も含めて申告します。
Q:副業が赤字でも確定申告したほうがいいですか?
A:事業所得であれば、給与と差し引きして所得税が戻る可能性があります。青色申告なら赤字を3年間繰り越せるので、申告しておく意味があります。
Q:開業届を出していれば、必ず事業所得になりますか?
A:なりません。事業所得かどうかは実態で判断されます。少なくとも、取引を記録した帳簿と書類を保存しておくことが前提です。
Q:確定申告はe-Taxと紙のどちらがいいですか?
A:青色申告の65万円控除を受けるには、e-Taxでの申告(または電子帳簿保存)が条件です。65万円控除を狙うならe-Taxを選んでください。
📌 2027年分から青色申告の控除が変わります
令和8年度税制改正で、2027年分(2028年に申告する分)から、青色申告特別控除は75万円・65万円・10万円の3段階になります。e-Taxで申告すれば65万円、さらに「優良な電子帳簿」か「請求書等のデータの自動連携」があれば75万円。紙で提出すると10万円になり、今の55万円の区分はなくなります。2026年分(2027年3月に申告する分)までは今のルールのままです。
まとめ
- 年末調整は会社の給与だけ。副業は確定申告で給与と合算する
- 申告が必要かどうかは「売上」ではなく「所得」が20万円を超えるかで判断する
- 確定申告をすれば住民税は自動で連携。しない場合は住民税の申告が別に必要
- 事業所得の赤字は給与と差し引きでき、所得税が戻ることがある。その前提は帳簿の保存
副業の確定申告でいちばん大変なのは、申告書を書くことより1年分の帳簿をそろえることです。入力の手間を減らしたいなら、銀行やカードの明細を自動で取り込める会計ソフトを使うのも1つの方法です。
📊 帳簿づけの手間を減らしたい方へ
マネーフォワード クラウド確定申告は、銀行口座やクレジットカードの明細を取り込んで帳簿づけを進められる確定申告ソフトです。1か月の無料お試しがあるので、操作感を確かめてから決められます。
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※税制は2026年9月時点の国税庁の情報をもとにしています。個別の判断は税務署や税理士にご確認ください。


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