「コピーはできるのに、貼り付けだけできない」
Excelでこれが起きると、作業が完全に止まってしまいますよね。しかも多くの場合、エラーも音も出ません。何も起きないので、自分の操作が悪いのかパソコンの故障なのかも分かりません。
私は経理の仕事を17年していて、毎日のようにExcelで貼り付けをしています。この記事では、貼り付けできない原因を「よくある順」に7つ並べ、それぞれの直し方をまとめました。上から順に確認すれば、ほとんどの場合はその場で解決できます。

「何も起きない」のか「メッセージが出る」のかで、原因がぜんぜん違います。まずはそこを見てくださいね。
まず30秒で切り分け
| どうなる? | 考えられる原因 |
|---|---|
| 何も起きない(メッセージも出ない) | 2026年9月のOffice更新の不具合(原因1)/コピーができていない(原因2) |
| 「この操作は複数の選択範囲に対しては行えません」と出る | とびとびに選んでコピーした(原因3) |
| 「同じサイズの範囲でないと…」と出る | コピー元と貼り付け先の形が違う(原因4) |
| 「変更しようとしているセルは保護されています」と出る | シートの保護(原因5) |
| 画面の上に「保護ビュー」「読み取り専用」と出ている | 編集できない状態で開いている(原因6) |
| 他のソフトからの貼り付けだけできない | クリップボードの問題(原因7) |
原因1:2026年9月のOffice更新による不具合
2026年9月8日(日本では9日)に配信されたOfficeの更新プログラム(KB5002914など)を入れた環境で、貼り付けが無言で失敗する不具合が起きました。エラーも音も出ないのが特徴です。
Microsoftはこれを認め、9月16日に修正版(KB5002665など)を公開しています。
| お使いのOffice | 状況(2026年9月25日時点) |
|---|---|
| Microsoft 365(サブスク版) | 対象として公表されていません |
| Office LTSC 2024 / 2021 | 修正済み |
| Office 2019 / 2016 | 修正版は出たが、条件付き書式のあるブックでは失敗することがある |
やること
- Officeを最新にする:ファイル → アカウント → 更新オプション → 今すぐ更新
- それでもダメなら、Ctrl+Alt+V(形式を選択して貼り付け)で「値」や「数式」を選んで貼る
- 条件付き書式が原因のこともあるので、いったん条件付き書式を外して貼り付け、あとで付け直す方法も有効です
「更新を消せば直る」という情報もありますが、セキュリティの修正まで消えてしまいます。会社のパソコンなら、必ず社内のシステム担当者に相談してください。
原因2:そもそもコピーができていない
意外と多いのがこれです。コピーが成功していると、コピー元のセルの周りに点線が動きます(通称「アリの行進」)。
この点線が出ていない場合、コピーができていません。次を確認してください。
- セルに文字を入力したまま(編集モード)になっていないか → Escを押してから Ctrl+C
- 日本語入力が変換中のままになっていないか → Enterで確定してから Ctrl+C
- コピーのあとに、別の操作(入力・削除など)をしていないか → 点線が消えたらコピーは解除されます
原因3:「複数の選択範囲に対しては行えません」と出る
Ctrlキーを押しながら、とびとびのセルを選んでコピーしたときに出ます。Excelは、離れた範囲をまとめて貼り付けることができません。
直し方
- 連続した範囲を選び直してコピーする
- どうしてもとびとびのデータを集めたいときは、いったんフィルターで絞ってから、見えているセルだけコピーする(この方法は非表示セルを除いてコピーする記事でくわしく説明しています)
原因4:コピー元と貼り付け先の形が合っていない
「コピー領域と貼り付け領域の形が違うため…」というメッセージが出る場合です。3行分コピーして、2行分の範囲に貼ろうとした、というときに起きます。
直し方:貼り付け先は左上のセルを1つだけ選んで貼り付けてください。範囲を選ばずに1つのセルを選べば、コピーした形のまま貼り付きます。
セルが結合されている場所も、このメッセージが出やすいところです。結合を解除してから貼り付けると解決します。
原因5:シートに保護がかかっている
「変更しようとしているセルやグラフは保護されているシート上にあります」と出る場合です。
直し方:「校閲」タブ →「シート保護の解除」。パスワードが設定されている場合は、ファイルを作った人に確認してください。共有のファイルでは、勝手に解除せず、ひと声かけるのが安全です。
原因6:保護ビュー・読み取り専用で開いている
メールに添付されたファイルやネットからダウンロードしたファイルは、黄色い帯が出た「保護ビュー」で開きます。この状態では編集も貼り付けもできません。
- 保護ビュー → 黄色い帯の「編集を有効にする」を押す(信頼できるファイルのときだけ)
- 読み取り専用 → 他の人が同じファイルを開いている可能性があります。F12で別名保存して作業を進めてください

画面の上のほうに黄色い帯が出ていないか、まず見てみてください。ここで止まっている人、とても多いんです。
原因7:クリップボードの問題(他のソフトからの貼り付け)
ブラウザやPDFなど、Excel以外からコピーしたものだけ貼り付けできない場合は、クリップボード(コピーした内容を一時的に置いておく場所)の問題が考えられます。
- コピー元のソフトで、もう一度コピーし直す
- クリップボードを管理するアプリ(常駐ソフト)を一度終了してみる
- それでもダメなら、いったんメモ帳に貼り付けてから、メモ帳でコピーし直してExcelに貼る
困ったときの万能薬:Ctrl+Alt+V
原因が分からないときでも、Ctrl+Alt+V(形式を選択して貼り付け)なら通ることがよくあります。今回の9月の不具合でも、これが回避策として案内されました。
| 選ぶもの | こんなときに |
|---|---|
| 値 | 計算結果の数字だけ欲しい(数式を持ち込みたくない) |
| 数式 | 計算式ごと持っていきたい |
| 書式 | 見た目だけそろえたい |
| 値と数値の書式 | 数字と表示形式(桁区切りなど)をそのまま持っていきたい |
くわしい使い方は、「形式を選択して貼り付け」の記事にまとめています。
よくある質問
Q:更新プログラムを削除すれば直りますか?
A:直る場合もありますが、おすすめしません。セキュリティの修正も一緒に消えてしまいます。まずはOfficeを最新に更新し、それでもダメならCtrl+Alt+Vで回避してください。会社のパソコンは、必ず担当者に相談を。
Q:条件付き書式があると貼り付けできないのはなぜ?
A:2026年9月の不具合の一部で、Office 2019・2016で報告されています。条件付き書式をいったん外して貼り付け、あとで設定し直すと回避できます。
Q:Excelを再起動しても直りません
A:再起動で直らない場合は、ソフトの不調ではなく設定や状態の問題です。この記事の原因3〜6(選択範囲・保護・読み取り専用)を順に確認してください。
Q:Macでも同じですか?
A:貼り付けの基本の考え方は同じです。ただしキーはCommand(⌘)+Vになります。2026年9月の不具合はWindows版で報告されたものです。
まとめ
- 何も起きないなら、コピーができていないか、9月の更新不具合を疑う
- メッセージが出るなら、選択範囲・形・保護のどれか
- 2026年9月の不具合は修正版が出たが、Office 2019・2016は条件付き書式で失敗することがある
- 困ったときはCtrl+Alt+V。これで通ることが多い
- 会社のパソコンで、更新プログラムを自分で削除しない
貼り付けが止まると焦りますが、原因はだいたい決まっています。上から順に見ていけば、たいていはすぐ戻れます。

「貼り付けできない」は、故障ではなく合図のことがほとんど。あわてず、上から順に確認していきましょう。
📈 Excelを「仕事で使えるレベル」にしたい方へ
トラブルのたびに手が止まるのは、基礎に抜けがあるサインでもあります。独学と教室のどちらが向いているかは、経理17年の私が実際にたどった順番(教室で基礎→独学でMOS)にまとめました。

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